民法等改正のポイント②

第二回は、「配偶者居住権」の新設について。これは、2020年4月に施行され、今住んでいる家に、配偶者がそのまま居住できる権利です。相続が発生し、これまで配偶者が自宅の所有権を相続すれば、引き続き住み続けられますが、相続で得られる他の財産(預貯金等)が少なくなってしまいます。しかし、この配偶者居住権を利用すれば、自宅に住み続けられかつ他の相続財産も多く確保できるというものです。配偶者居住権は。短期と長期に分かれ、長期は登記対象で、原則死ぬまで付与されますが、遺言で配偶者に遺贈の文言記載が必要です。これまでの自宅所有権を、配偶者居住権(配偶者が居住するだけの権利)と負担付所有権(その残余部分)の2つに分割します。この配偶者居住権の評価方法は、配偶者の平均余命までの年数・建物の耐用年数や築年数などを考慮して算出されるので、配偶者の年齢が若いほど評価が高くなる仕組みです。自宅価格の半額が配偶者居住権の評価となる年齢は、概して65歳くらいといわれています。相続で自宅に住み続けられかつ他の相続財産を多く確保できるという利点はあるものの、その自宅を売却処分できないという難点もあるので、慎重な検討が必要です。