民法等改正のポイント③

第三回は、「婚姻期間20年以上の夫婦の優遇策」について。2019年7月の民法改正により、婚姻期間20年以上の夫婦間において、居住用不動産の生前贈与又は遺贈がなされた場合、配偶者が譲り受けた住居は、「遺産とみなさない」という意思表示があったとして、遺産分割の対象から外れる、即ち遺産の先渡しを受けたものとして、足し戻す必要がなくなりました。これまでは、遺産の先渡しを受けたものとして取り扱う、即ち足し戻されるため、配偶者が取得する財産額は、贈与等がなかった場合と同じでしたが。今回の改正により、足し戻す必要がなくなったため、結果的に、配偶者が取得する財産額が増えるようになりました。詳しくは、スライド2枚をご覧ください。

 

民法等改正のポイント②

第二回は、「配偶者居住権」の新設について。これは、2020年4月に施行され、今住んでいる家に、配偶者がそのまま居住できる権利です。相続が発生し、これまで配偶者が自宅の所有権を相続すれば、引き続き住み続けられますが、相続で得られる他の財産(預貯金等)が少なくなってしまいます。しかし、この配偶者居住権を利用すれば、自宅に住み続けられかつ他の相続財産も多く確保できるというものです。配偶者居住権は。短期と長期に分かれ、長期は登記対象で、原則死ぬまで付与されますが、遺言で配偶者に遺贈の文言記載が必要です。これまでの自宅所有権を、配偶者居住権(配偶者が居住するだけの権利)と負担付所有権(その残余部分)の2つに分割します。この配偶者居住権の評価方法は、配偶者の平均余命までの年数・建物の耐用年数や築年数などを考慮して算出されるので、配偶者の年齢が若いほど評価が高くなる仕組みです。自宅価格の半額が配偶者居住権の評価となる年齢は、概して65歳くらいといわれています。相続で自宅に住み続けられかつ他の相続財産を多く確保できるという利点はあるものの、その自宅を売却処分できないという難点もあるので、慎重な検討が必要です。

民法等改正のポイント①

これから、最近の民法等改正のポイントについてシリーズで簡単に解説してまいります。第一回は、その背景です。我が国では、この40年間ほどで大きな社会変化がありました。一つは、平均寿命の伸長。男性81.47歳、女性87.57歳と男女とも8-9歳伸びて長寿社会になりました。二つは、高齢化率の上昇。人口に占める高齢者の割合が、9.1%から28.9%まで、3倍強になりました。三つは、所有者不明土地問題の顕在化。所有者不明の土地が2016年で410万haと九州全体の面積を上回るほどになりました。これらの社会変化を受けて、約40年ぶりに民法等改正が次々と施行されるようになったのです。次回は、配偶者居住権の新設について説明します。

 

身元保証から後見・死後まで

身元保証から後見・死後迄、トータルでサポートしますというチラシが出来上がりました。独居高齢者の不安を解消するために、生前から死後までトータルでSTEPがサポートするという内容です。最近、独居高齢者に関わる案件が増加していることに鑑みて作成したもので、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の皆さんに配布して行きたいと思います。くわしくは、こちら

地方銀行の終活セミナーで講師

先日、池田泉州銀行津久野支店からの依頼を受けて、「終活のそなえ」セミナーの講師を務めました。参加者は10名でした。最近の時代背景から始め、認知症の備え・身元保証人の備え・死後の備え・終末期医療の備え・相続の備えに至るまで、必要な情報を提供しました。参加者からはわかりやすかったとの評価を頂き、意を強くしました。