民法改正等のポイント⑨

民法改正等のポイント第九回は、「法定相続情報証明制度の開始」について。本制度は、2017年5月、不動産登記規則の一部を改正する省令の施行という形でスタートしました。相続が発生すれば、被相続人の所有不動産や預貯金などの財産名義を相続人の名義に変更する手続きが必要です。その場合、被相続人の出生~死亡までの連続したすべての戸籍謄本等を集める必要があります。そして、不動産なら法務局、預貯金なら銀行、有価証券なら証券会社と、名義変更の届け出先ごとに、戸籍の束が必要でした。届け出先の法務局や銀行なども、その戸籍の束を読み説いて、法定相続人を正確に把握する手間と時間が必要でした。そこで、本制度開始後は、集めた戸籍謄本を基に、被相続人と法定相続人の一覧図を作成し、一覧図と謄本類を法務局に提出すれば、法務局が「法定相続情報」の証明書を無料で何枚も発行してくれるようになりました。相続人は、その証明書を銀行などの届け出先に提出すれば、いちいち戸籍の束を提出する手間と解読時間が省けます。相続手続の時間短縮には、欠かせない仕組みだと思います。