民法改正等のポイント⑬

民法改正等のポイント第13回は、「相続人申告登記制度」について。前回、改正不動産登記法により、2024年4月から相続開始後3年以内に相続登記を行うことが義務化されると説明しましたが、期限内に遺産分割協議がまとまらない可能性もあります。そこで、当該不動産の相続人が法務局に「自分が不動産の相続人」である旨を届け出て登記してもらう制度が2024年4月から始まります。これが「相続人申告登記制度」というもので、申告後、遺産分割協議が確定したら、その日から3年以内に正式に相続登記を行えば、義務を履行したことになります。いわば「相続登記完了までの時間稼ぎ」と言える制度ですね。

 

民法改正等のポイント⑫

民法改正等のポイント第12回は、「相続登記の義務化」について。これまで、相続対象不動産の相続登記をするしないは任意でしたが、不動産登記法の改正により、2014年4月1日から、相続登記が義務化されます。2024年4月1日以降に相続発生なら、発生から3年以内に相続登記をする必要があります。既に相続が発生しておれば、2027年3月末までに、相続登記をする必要があります。被相続人の相続財産に不動産が含まれておれば、注意が必要ですね。

民法等改正のポイント⑪

民法等改正のポイント第11回は、「相続人以外の者の貢献を考慮する方策」について。義父を介護してきた息子の嫁など、法定相続人ではない親族が、被相続人の介護などしていても、現行法では当該親族は遺言がない限り、介護等に対する経済的な恩恵は受けられないものでした。2019年7月の民法改正により、法定相続人ではない親族も、被相続人の介護等に貢献した場合は、「金銭請求できる」ようになりました。これが認められるには、いくつかの条件があります。①親族であること、②療養看護その他の労務の提供があること、③無償での貢献、④被相続人の財産が維持又は増加したことであり、当該親族は相続の開始を知ってから6か月以内又は相続開始から1年以内に請求することが必要です。

民法改正等のポイント⑩

民法改正等のポイント第10回は、「(被相続人の)預貯金払戻し制度」について。相続が開始すると、被相続人の遺産は死亡時点で相続人全員の共有財産となります。したがって、被相続人の預貯金は凍結され、遺産分割協議成立前に、預貯金を勝手に引き出すことはできませんでした。2019年7月の民法改正により、生活資金や葬儀費用など必要であれば、遺産分割協議前でも、被相続人の預貯金から一定金額の払戻しが可能になりました。一定金額とは、「相続開始時の預貯金額(口座基準)×3分の1×払戻しをする相続人の法定相続分まで」の金額を指し、1金融機関からの払戻しは、150万円までとなっています。

 

民法改正等のポイント⑨

民法改正等のポイント第九回は、「法定相続情報証明制度の開始」について。本制度は、2017年5月、不動産登記規則の一部を改正する省令の施行という形でスタートしました。相続が発生すれば、被相続人の所有不動産や預貯金などの財産名義を相続人の名義に変更する手続きが必要です。その場合、被相続人の出生~死亡までの連続したすべての戸籍謄本等を集める必要があります。そして、不動産なら法務局、預貯金なら銀行、有価証券なら証券会社と、名義変更の届け出先ごとに、戸籍の束が必要でした。届け出先の法務局や銀行なども、その戸籍の束を読み説いて、法定相続人を正確に把握する手間と時間が必要でした。そこで、本制度開始後は、集めた戸籍謄本を基に、被相続人と法定相続人の一覧図を作成し、一覧図と謄本類を法務局に提出すれば、法務局が「法定相続情報」の証明書を無料で何枚も発行してくれるようになりました。相続人は、その証明書を銀行などの届け出先に提出すれば、いちいち戸籍の束を提出する手間と解読時間が省けます。相続手続の時間短縮には、欠かせない仕組みだと思います。